住所を隠して生きるという選択


〜 DV後に住民票の閲覧制限をかけた理由と約5年の現実 〜


本当に、ここまでしなければいけないのだろうか。
誰にも相談せずに、こんな決断をしていいのだろうか。
これで、相手をさらに怒らせてしまわないだろうか。

手続きの説明を受けながら、私は何度も自分に問いかけていました。

それでも、住所を知られることだけは避けたかった。
“もし知られたらどうなるか”という恐怖のほうが、はるかに大きかったからです。

別居直後、私に必要だったのは自由ではなく、まずは安全でした。
そのために選んだのが、住民票の閲覧制限(支援措置)でした。

避難直後の数日間については、こちらに書いています。
逃げたのに、安心できなかった数日間のこと


住民票の閲覧制限(支援措置)とは

DVやストーカー被害などがある場合、
加害者から住所を知られないようにする制度があります。

これは 【住民基本台帳事務における 支援措置】と呼ばれるものです。

主に制限されるのは:

  • 住民票の写しの交付
  • 戸籍の附票の交付
  • 住所履歴の閲覧

これにより、加害者が役所で住所を取得することを防ぐ仕組みになっています。

対象になるのは、

  • DV被害
  • ストーカー被害
  • 児童虐待 など

自治体によって運用の細かい部分は異なるかと思いますが、
基本的には現在住んでいる市区町村の窓口で申請します。


手続きの流れ

私の場合は、次のような流れでした。

  1. 警察で被害状況の確認
  2. 市役所で相談
  3. 配偶者暴力相談支援センターで被害状況の確認
  4. 市役所へ申請書類を提出
  5. 審査
  6. 支援措置決定

※自治体によって流れは異なります。

支援措置は「一度やれば終わり」ではありません。

通常は1年ごとに更新が必要です。

更新の時期が近づくと、通知が届く自治体もあります。

この“更新がある”という点は、あまり知られていませんが、とても重要です。

逃げる前に準備していたことはこちらにまとめています。
子どもを連れてモラハラDVから別居するとき、私が実際にした準備や手続き


✔ 住民票の閲覧制限を申請する前の確認チェック

□ 現在の住所は相手に知られていない
□ 役所にDV相談歴や証明がある(または警察相談履歴がある)
□ 子どもの学校への説明が必要か確認している
□ 郵便物の転送手続きを済ませている
□ 金融機関・保険などの住所変更を済ませている
□ マイナンバー関連書類の保管場所が安全
□ 更新時期(通常1年)を把握している

すべてが完璧でなくても大丈夫です。

まずは窓口で「相談したい」と伝えることから始まります。


手続きで迷ったこと

正直に言うと、私は迷いました。

・やりすぎではないか
・相手を刺激しないか
・子どもに影響は出ないか

住所を隠すということは、
「普通の生活」から一歩外に出るような感覚があったからです。

けれど、恐怖と天秤にかけたとき、
私は“安心”を選びました。


約5年生活してみて感じたこと

制度は万能ではありません。

役所の別部署に情報が十分に共有されていないことがあったり、
住所確認で少し時間がかかる場面もありました。

ですが、

「知られない仕組みがある」という安心感は、想像以上に大きかった。

夜、物音がしても
“すぐ来られる距離ではない”とわかっているだけで、呼吸が違いました。

不便よりも、安心の方が勝っていました。


それでも私は後悔していない

住所を隠すという選択は、
誇らしいものでも、特別なものでもありません。

ただ、必要だった。

子どもと静かに暮らすために。

もし今、同じことで迷っている方がいるなら。

制度を使うことは「大げさ」ではありません。

それは、逃げではなく
守るための選択です。

私は約5年、その選択とともに生きてきました。

そして今も、後悔はしていません。