① 調査官調査が決まってから
相手方の要望で、調査官調査の実施が決まりました。
数日後、
家庭裁判所 から封書が届きました。
封筒の中身は二通。
ひとつは私宛。
正式に調査官調査を実施すること、実施日、そして2日間のスケジュールなどが記されていました。
もうひとつは子ども宛の手紙でした。
差出人は 家庭裁判所調査官。
・調査官の自己紹介
・両親がこれからのことを決めるために話し合いをしていること
・お家に行って少し話を聞かせてほしいこと
・好きなもので一緒に遊びたいこと
・子どもに話を聞くことはお父さんもお母さんも了承していること
・日程について
字体やイラストなど配慮されており、
とてもやわらかい文面でした。
調停で決まった時点で、
子どもが突然驚かないように少し話はしていました。
だから手紙が届いたとき、
「これか」という反応で、大きく取り乱すことはありませんでした。
でも、不安はありました。
「本当のことを話したら、あとで怒られない?」
父親から叩かれたことや“お仕置き”のこと。
それを話しても大丈夫なのか、と。
私は、
誰かを守るための場であること、
思っていることをそのまま話していいこと、
無理に強くならなくていいことを伝えました。
手紙を読んでから、子どもの精神状態は少し不安定になりました。
夜の眠りが浅くなったり、落ち着かない様子が続いたり。
やはり「思い出す」という行為自体が負担だったのだと思います。
② 1日目:自宅での調査
当日は、
「少し遊んでお話しするだけだよ」と伝えました。
玄関で挨拶を交わし、
まずはリビングで全員そろって自己紹介。
生活状況についていくつか質問を受けたあと、
住まいを案内しながら子どもの部屋へ向かいました。
その後は、
調査官と子どもだけの時間。
好きなおもちゃを使いながら、
自然な流れで話をしていたようです。
私は途中で退出し、別室で待機しました。
終わったあと、今度は私の話を聞く時間がありました。
子どもの家庭や学校での様子が中心だったと思います。
最後に、2日目の流れを確認して終了しました。
③ 2日目:裁判所での調査
2日目は裁判所。
朝から子どもは明らかに不安そうでした。
待合室では、固い表情のままソファーに座り、
私は隣に並んで肩を抱き寄せ、手を握っていました。
呼ばれるまでの間、
うまく話せなくても大丈夫。
自分の言葉でいい。
話したくないことは無理に話さなくていい。
そう伝えました。
順番は、私が先で、そのあと子ども。
子どもの時間のほうが長く感じました。
不安定さも続いていた時期でしたし、
慣れない場所でひとりで話していると思うと、
待っている間は心配で落ち着きませんでした。
戻ってきた子どもは、
私の顔を見るなり、はっきりと安心した表情を浮かべました。
その瞬間の顔は、今も忘れられません。
④ 裁判所で聞かれたこと(子どもの言葉)
後日、報告書を読みました。
自宅での様子も、裁判所でのやり取りも、
会話の内容だけでなく、そのときの態度や表情まで細かく記されていました。
裁判所での調査では、
質問に対してどう答えたかだけでなく、
言葉を選ぶ様子や迷いも書かれていました。
そこから伝わってきたのは、
一生懸命、自分の言葉で伝えようとしていた姿でした。
胸が締め付けられる思いがしました。
そして同時に、
私が思っている以上に、子どもは冷静に状況を理解していたことも伝わってきました。
守っているつもりでいたけれど、
子どもは自分なりに考え、受け止め、伝えていました。
調査の中では、
「お父さんに会いたいと思うか」という質問もあったようです。
とても重い問いだと思います。
報告書には、
少し間を置き、言葉を選びながら答えた様子が書かれていました。
その内容は、
「今は会いたくない」というものでした。
理由も、自分の言葉で伝えていました。
怖かったこと。
嫌だったこと。
思い出したくないこと。
感情的にではなく、
落ち着いて、整理するように話していたと記録されていました。
それを読んだとき、心が痛みました。
私は、子どもを守れたのだろうか。
動くのが遅かったのではないか。
迷いも後悔も抱えたままですが、あの日の言葉は、
子ども自身が選び取ったものだったのだと思います。
⑤ 記録に残っていたもの
調査官調査は、とても緊張しました。
でも振り返ってみると、
子どもの声を丁寧に拾おうとする場だったと感じています。
あの日の緊張も、不安も、
決して無意味ではありませんでした。
子どもが、自分の言葉で話せたこと。
それが何よりも大切だったのだと思います。
「会いたいかどうか」という問いは、
大人にとっても答えるのが難しいものです。
それを、自分の立場で、
自分の言葉で伝えた。
その姿が、記録として残っていました。
私は、守る側だと思っていました。
けれどあの日、
子どもは自分の力で自分を守ろうとしていたのかもしれません。
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